栗を使った6次化や農村ホームステイで地域に人を呼び込む 日本全国!地域仕掛け人市2016レポート<前半>
(画像:日本全国!地域仕掛け人市2016)
10月29日に東京の恵比寿で開催された「日本全国!地域仕掛け人市2016」。都市と地域をつなぐために先鋭的な取り組みを続けている全国の「仕掛け人」が集まるイベントとして、当日も多くの来場者でにぎわった。出展するのは自治体やNPOなど30の団体。当日の会場の様子をレポートする。
フィールドワークで地域課題を解決
今回のイベントの主催にも名を連ねるNPO法人ETIC.のブースは、ローカルリーダープログラム「BRIDGE」をPRしていた。これは、高齢化や空き家問題など地域の問題を解決したいと考える人と、お手本となる地域のキーパーソンをつないで課題解決に導くプログラム。実際のフィールドワークを通じて、課題解決のノウハウを学ぶことができるという。フィールドワークの受け入れ先として、以下のような地域がピックアップされている。
・高知県四万十町 株式会社四万十ドラマ
「農産品の生産から商品開発・ブランディングまでを町ぐるみで。地域全体で稼ぐ方法」
栗の栽培、加工、販売する6次産業化を行っている。出荷量が全盛期の800トンから20トンまで減少してしまった栗をブランド化するべく、新しく1万本の栗の木を新植。生産者、農業法人、JAと連携することで、徐々に出荷量を増やしている。地元で栗の加工をすることで新しい雇用も創出している。
・北海道浦幌町 株式会社ノースプロダクション
「農家・企業・学校と連携した、子どもたちが地域へ愛着を持つ仕組み」
十勝地域では、都市の高校生を対象とした「農村ホームステイ」を2012年から実施。15年には3200人の高校生が参加した。受入先の農林漁業者数も現在までで550戸に増加。浦幌町は08年から、小学生が農林漁業者の家に一泊する体験授業や、中学生のまちづくり企画案を地域の大人たちが形にするワークショップなどを行っている。
その他、遊休不動産を観光に活用するためのノウハウを学べる山梨県富士河口湖町や、中小企業をサポートする担い手育成法が学べる岐阜県岐阜市などが受け入れ先となっている。
ETIC.のローカルイノベーション事業部の高木氏は「若者と農村をつなげることを目的に、数々のプロジェクトを進めています。今回も多くの年齢層の方に興味を持っていただき、手応えを感じています」と話す。
葉っぱビジネスだけじゃない、地域資源の有効活用が光る上勝町
里山の葉を「つま」として提供する葉っぱビジネスで有名な、徳島県上勝町の株式会社いろどりも出展していた。10月28日には、同町に若者が集まっているというニュースがYahoo!に取り上げられたばかり。葉っぱビジネスが生まれたのは1986年。現在は年商2.6億万円、年収1000万円を稼ぐ人材もいるという。
同町に興味を持つ若者のためのインターンシップも行われており、今では約20人の若者が町内に移住している。今年も11月~来年の3月にかけて短期間のツアーを実施する。葉っぱビジネス以外にも、焼却ゴミ・埋め立てゴミをなくす取り組みや、空き家の有効活用、面積の9割を占める木材活用など、多角的な地意識源の再生に取り組んでいる。現在は大阪の企業とともに、杉とヒノキを使った繊維の開発も進めているという。
芸術祭やシェアオフィスの整備で、若い力を呼び込む茨城県
茨城県は県北部の日立市、高萩市、北茨城市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町の6地域を県北としてPRしていた。「県北部は人口減少が多く、歯止めをかけるために若いクリエイティブな人たちを呼び込む環境を整備しています」と、県北振興課の仁平氏は話す。県全体が一丸となって推進する「茨城県北芸術祭」や、賞金総額800万円の地域ビジネス支援、シェアオフィスの整備やさまざまな補助など、若者を呼ぶ取り組みを続けている。また、大子町は漆の生産量第二位を誇る産地であり、今後は漆を全国的にPRしたい意向だ。
レポートの後半記事に続きます。