地方の企業とスキルを持った人材を結ぶ「肉ラウドソーシング」 日本全国!地域仕掛け人市2016レポート<後半>
前半記事に引き続き、10月29日に東京の恵比寿で開催された「日本全国!地域仕掛け人市2016」をレポートする。今回、特に目を引いたのが、9月1日に立ち上げられたばかりの、地域の手伝いをすると特産品がもらえる「肉(ニク)ラウドソーシング」というサービス。
クラウドソーシングとはWebを使って、不特定多数の人に仕事の依頼をする仕組みのこと。仕事を依頼したい企業と、仕事を受注したい主にフリーランスの人をつなぐサービスなどが展開されている。通常、仕事の対価として金銭が支払われるが、物々交換を目的にしている肉ラウドソーシングは、金銭ではなく地域の特産品が対価となる。なお、サービス名に「肉」と入っているが、特産品は肉に限定されているわけではない。
肉ラウドソーシングは、特定のスキルを持った人材の確保が難しい地方の企業と、自分のスキルで地域貢献したい人をつなぐことを目的に生まれた。
運営する合同会社カミクマワークスの中神美佳代表は、北海道大樹町の地域おこし協力隊としても活動している。「お金ではなく現物支給にしたのは、お裾分けの文化を多くの人に知ってもらいたいからです。肉ラウドソーシングを利用してくれる方も、自分のスキルを活かして地域に貢献したいという思いの人が大半です。やっぱり今の時代は、お金を絡ませないほうが面白いですね。こういった地域貢献の形がもっと広まればいいなと思っています」と話す。
カミクマワークスの中神美佳代表(右)と、肉ラウドソーシングの発案者である株式会社カヤックの柴田史郎氏(左)。
以下に挙げるように、企業から依頼される案件もユニークな内容のものが多いのも同サービスの特徴だ。
・「十勝の季節の野菜便」で十勝さらべつ熱中小学校のPR活動をしてくれる方
2017年4月に発足予定のまちおこしプロジェクト「十勝さらべつ熱中小学校」を盛り上げるための自主イベントや、PR全般を手がけてくれる人を募集。報酬として、じゃがいもや豆など更別村の季節の野菜が年4回配送され、十勝さらべつ熱中小学校の受講料が1年無料となる。
・「十勝ぼうや牛」1年分で新商品のパッケージデザインをしてくれる方(すでに募集は終了)
全国で約1200頭しか飼育されていないブラウンスイス牛を使った新商品のパッケージデザインができる人を募集。報酬として、コンビーフ48缶や肩ロースブロック10kgなどの特産品セットが年4回届けられる。また、希望者は牧場のゲストハウスに宿泊しながら、牛の世話もできるという。
その他、“「太平洋が見える晩成温泉の100回入浴券」で温泉のサイトを制作”、“「鹿肉1年分」で陸別町の鹿肉ブランドのロゴ&ラベルデザイン”などの案件もある。また、堀江貴文氏が代表をつとめるロケットベンチャーのインターステラテクノロジズも、エンジン部品を使った商品企画を募集している。
十勝陸別町のシカ肉ブランドのロゴをデザインすると、シカ肉1年分がもらえる。
農業以外の案件も多数。
現在は北海道十勝地方の農家や企業を対象にしているが、将来的には全国を対象にする意向だという。お金を介在させない地方ならではの経済圏をベースにしたサービスとして、今後の動向に期待が高まる。