腰を曲げずに作業能率が向上 農研機構とクボタが新型の歩行型草刈機を開発中

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農研機構とクボタは、長い操作ハンドルを備え、樹冠下も楽な姿勢で草刈作業ができる2方式の歩行型草刈機を共同で開発にあたっている。幹周部分での旋回操作が容易なキャスタ式と、旋回操作が不要で幹周部分の草刈ができるオフセット式の2タイプ。

 

いずれも歩行型の法面用草刈機をベースとして果樹園用に改良した草刈機。わい化リンゴ園などの樹冠下の草刈作業を楽な姿勢で効率よく行える。障害物の多い果樹園だけでなく、法面の草刈作業にも利用できる。

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(画像:農研機構

 

キャスタ式とオフセット式ともに、長い操作ハンドルを備えた刈幅300mmの歩行型法面用草刈機をベースにしている。各特徴は以下のとおり。

 

 

キャスタ式

 

エンジン、草刈部、走行部、操作ハンドル、キャスタから構成される。キャスタは接地・非接地の切り替えや高さ調節が可能。幹周部分など頻繁な旋回動作が必要なときは、キャスタを接地させることで、軽い力で旋回ができる。キャスタを非接地にすると、ベースとなっている歩行型法面用草刈機と同様に、水田や畑などの法面草刈にも使える。

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(画像:農研機構

 

 

オフセット式

 

エンジン、主草刈部、オフセット草刈部、走行部、操作ハンドルから構成される。オフセット草刈部は幹などの障害物にぶつかると車体側へ避けるように動くため、樹列に沿ってまっすぐ走らせるだけで、幹周の草刈ができる。キャスタ式と同じく法面草刈にも利用可能。作業能率はベース機の1.4倍向上している。

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(画像:農研機構

 

わい化リンゴ園および新わい化リンゴ園で幹周部分の草刈作業を行ったところ、一般的の刈払機よりも作業能率がキャスタ式で最大1.7倍、オフセット式は最大2倍となった。心拍数増加率も、刈払機の平均約40%に対して、キャスタ式は平均約35%、オフセット式は平均約30%となった。腰を曲げるなど負担の大きい作業姿勢の時間も減るが、樹幹周辺の刈り残し面積については、両方式ともに刈払機と同等だった。

 

現在は実用化に向けた試作機の課題抽出を行っており、早期の市販化を目指している。



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