イネ黄萎病などの原因となる細菌を検出する遺伝子診断キット 国内や東南アジアでの活用に期待

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東京大学の研究グループはファイトプラズマ病を検出できる世界初の遺伝子診断キットを開発した。ファイトプラズマは黄化萎縮病、てんぐ巣病、葉化病などを引き起こし、世界中で発生し大きな被害を生んでいる。

 

ファイトプラズマはイネ、ココヤシ、バナナなど1,000種以上の植物に感染する。発生すると防除が困難で昆虫を介して伝染する。ファイトプラズマは40種以上により構成される細菌グループであるため、これまで対策がなされていたのはその一部のみだった。

 

一般的なファイトプラズマ病の診断は、ファイトプラズマ特異的PCR法という手法により行われてきました。しかし、PCR法は煩雑な手順と高価な実験機器が必要なうえ、検出感度も高いとは言えませんでした。

(プレスリリース「東大、ファイトプラズマ病を一網打尽に検出できる遺伝子診断キットを開発」より引用)

 

今回開発された製品名は「ファイトプラズマユニバーサル検出キット(47,900円)」。迅速で安価な日本独占の特許技術「LAMP法」を用いて、未発見のファイトプラズマも30分で検出できる。特別な機器などは不要。これにより、すべてのファイトプラズマ病を診断できるようになった。また、将来発生する予測不能のファイトプラズマ病の診断も可能となる。今後は、東南アジア実施されるファイトプラズマ病の根絶事業に活用されることが決定している。

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100 円ショップ等で売っている紫外線ランプを照射すると、感染している場合は緑色に光る。(画像:プレスリリース

 

日本では江戸時代には発生が記録されていたファイトプラズマ病。当時は養蚕に必要なクワが萎縮病による被害を受けていた。原因となる細菌のファイトプラズマは、1967年に日本ではじめて発見された。今回の診断キットの開発で、ファイトプラズマ病の防除、媒介昆虫の特定や発生実態の解明などにつながると期待されている。



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