参考にしたい、耕作放棄地化の”予防”事例

農業メディア「AgriFood」の最新記事を購読しよう
line_addfriens_banner

top_160204

 

年々拡大する耕作放棄地。国としても放棄地の対策はしているけれど、なかなか成果が上がっていないのが事実。補助金も投入されているが、トラクターや軽トラの進入路がない小農地、モグラ穴や水路壊れで水がたまらない田、家と畑の距離が遠い山間部などは焼け石に水状態。

 

では、どうすればいいのだろうか。重要なことの一つは、耕作放棄地化する1歩手前でくい止めること。今回は、耕作放棄地の発生を防止した例を紹介したい。

 

 

農機具の共有や、集落営農の設立で放棄地を予防

 

愛知県新城市の庭野-井ノ口集落は高齢化、後継者不足から耕作放棄地の発生が懸念されていた。そこで地域の話し合いにより庭野-井ノ口集落協定を結び、農業機械や農作業の共同化などに取り組んでいった。

 

景観をよくする菜の花を作付したり、休耕地になる寸前の農地の管理を行えば日当を増額するなど、労働意欲を向上させる工夫も見られる。

 

同じ愛知県豊田市の所石集落と大楠(おおぐす)集落は連携して「石楠(せきなん)集落協定」を結び、「石楠集落営農組合」を設立した。高齢農家の農地は組合が引き受け生産活動を行っている。

 

農業機械については交付金や補助金を使って、共用のコンバイン、田植機、籾摺り機・乾燥機を購入した。これにより設備投資が軽減したけれど、籾摺り機・乾燥機についてはローテーションが上手くいかないという問題点もあった。田植えの時期をずらすなどして対応していく。

 

 

NPO法人が地域に人を呼び込み、棚田を活用

 

岐阜県白川町では、有機栽培を手がけるNPO法人が外部から人を呼び込み、定住を支援している。新規就農者は近隣の農家から生産技術を学び、後継者のいなくなった棚田を借り受けて栽培をしている。

 

棚田での耕作は手間がかかるが、景観保全や文化的な価値を絶やさないよう、田植えイベントなどでその価値を発信している。その他、郷土料理を提供したり、荒廃した農地を見学したり、山間地の現状を伝える取り組みにも力を入れている。

 

地域内の協力や外部の人間の受け入れなど、耕作放棄地の防止にはいろいろな例がある。一度、放棄地となった土地を再生するのは時間も労力もかかる。放棄地の対策の事例として参考にしてほしい。

 

 

参考URL

耕作放棄地の発生防止・解消事例

 



3517