受粉なしでも着果する ナス科野菜の新遺伝子を発見
農研機構とタキイ種苗は協同研究により、受粉しなくても着果する「単為結果性」のナスの遺伝子を発見した。突然変異で生まれたこの遺伝子は、ナスだけでなくトマトやピーマンにも存在するという。省力化を実現し生産性を上げる発見として期待されている。
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植物ホルモンのオーキシンを増やす遺伝子を発見
「pad-1(仮称)」と名付けられた突然変異型の遺伝子により、植物ホルモンのオーキシンが増加して受粉なしでも着果することがわかっている。タキイ種苗ではこの研究をもとに、すでに3つの単為結果性ナス(TNA-112、TNA-113、TNA-114)を開発した。
「TNA-112」と「TNA-113」は長卵形。やわらかい肉質が特徴。
太長タイプの「「TNA-114」はトゲなしで果色が濃い。3品種とも小葉で草勢はおとなしい。
遺伝子組み換え技術は不使用で、労力とコストを大幅に削減
通常のナスの促進栽培は、低温期にはマルハナバチによる受粉や、着果促進剤が必須だった。けれども、マルハナバチにはさまざまなコストがかかり、全労働時間の3割を占めるホルモン処理は重労働であり負担が大きかった。
単為結果性ナスは数々のメリットをもたらす。これまで手作業で行っていたホルモン処理が不要になり省力化を実現。また、受粉用のマルハナバチが不要になり、大きなコスト削減が可能になる。ハチの購入費用、暖房費、逸失防止のための資材代も一切不要となる。
なお、これらの単為結果性ナスについて遺伝子組換え技術は一切使用されていない。将来的には、同様の遺伝子を持つナスやピーマンからも単為結果性の品種が生まれると期待が高まる。
参考URL
ナスの受粉作業を省くことができる新しい遺伝子を発見-農研機構