海外農業を見たからこそ、目指すべき農業の姿が見えてきた【上原農園×ファームシップ】(前編)
埼玉県で露地野菜を生産する上原農園17代目 上原隆介氏と、植物工場コンサルティング・農産物流通等の事業を行う㈱ファームシップ代表 安田瑞希氏の対談を前編・後編に分けてお送りする。
【聞き手:(公社)国際農業者交流協会・皆戸顕彦、AgriFood編集部・石田渡】
■海外農業を見たからこそ、目指すべき農業の姿が見えてきた【上原農園×ファームシップ】(後編)
アメリカの企業的農業を見て「人」の違いを実感。 ファームシップ創業へ
石田:農業を始めたきっかけは?
安田:親が専業農家だったということもあって、小中高ずっと農業界で働くか悩んできていたんですね。農業の良いところも悪いところも知っていましたし。高校を出て、大学の農学部に入っても決心がついていなかった。
「このまま日本にいても変わらない。日本の農業は知っているけれど海外はどうなんだ。環境を変えると何か分かるのでは?」と思い海外農業研修に参加しました。「アメリカで◯◯をしたい!」「こんな農業をしたい!」といった明確な考えは持ってなかったですね。
石田:環境を変えられてみたんですね。
安田:アメリカと日本の一番の違いは「人」でした。アメリカでの研修先農家は、当然のように会社組織。皆大学を出て、MBAを取ったり、会計士や弁護士もいたり、それぞれの分野の専門家がマネジメントチームを組んでいる。化学的に肥料配合等を行ったりと、学問と実業が結びついている。一方地元を思い返してみると、おじいちゃん、おばあちゃんがなんとなく農業をやっている。農業を産業にしようとする意識が全く違っていると感じました。
安田瑞希(やすだ・みずき)
㈱ファームシップ代表取締役。福岡県で、花卉専業農家の長男として生まれる。明治大学農学部卒業後、米国オレゴン州の花卉農業法人にて研修。帰国後、国内大手監査法人、外資系大手メディアを経て、大手植物工場事業会社に入社。「農と食の未来創造」を目指し、植物工場コンサルティングと農産物流通、農業データサイエンスの3事業を行う。
安田:問題は、土地の広さではなく、やる「人」。そして人は変わることが出来る。だからこそ、産業化のチャンスはあります。その「人が変わる仕組みをつくる」という方針が見えて、ようやく23歳で農業で生きる決心がつきました。
石田:日本の農業問題として土地が狭いことがよく取り上げられますが、経営者としての考え方、農業を経営する人の問題のほうが重要ということですね。
安田:その通りです。農業に人を集める。いろんな産業から人を集めて、もっとこの産業を面白くしていきたい。それが自分のミッションになりました。
皆戸:その後、ファームシップを創業されました。
安田:「最先端技術」が人は好き。植物工場もその一つです。 5年前、「有機農業」といった軸だけでなくて、「植物工場」といった軸がないと、農業界に人が集まらないのではないかと思い、植物工場をテーマにすることに決めました。現在ファームシップでは、植物工場をやりたい企業にコンサルティング等を行っています。
【海外農業を見たからこそ、目指すべき農業の姿が見えてきた【上原農園×ファームシップ】(後編)】
(公社)国際農業者交流協会[JAEC]、海外農業研修について
JAEC海外農業研修は、農場で実際の農作業に携わりながら学ぶ実務研修を重視したプログラムです。優秀な経営者の下、実践的に身に付けた技術や知識は、教育機関にいながら学ぶそれとは一味違います。
日本ではあまり一般的ではありませんが、ヨーロッパで農業を学ぶ若者は、学校(座学)で知識を身に付け、指導者のいる農場で技術を磨くことができます。世界のエリート農家たちの多くは、この高度な経営者を育成できるカリキュラムから輩出されています。
私たちの海外農業研修は、日本では不足しがちな農場での実務研修を、しっかりした農業指導者の下で身に付ける絶好の機会といえます。
プログラムには、農業先進国である5つの国(アメリカ、デンマーク、ドイツ、スイス、オランダ)に長期滞在できるコースを用意。現地の農場に滞在するので、農業の技術力はもちろん、言語や外国人とのコミュニケーションの力が身に付きます。そして何より、若い時期に海外で過ごす経験が、強い自信と世界とのつながりを確信できるようになります。
少しでも関心を持った方は、まずは概要を知ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
気軽に参加出来る説明会が、下記日程で開催されます。
・2016年9月10日(土) 池袋サンシャインシティにて行われる新農業人フェア内説明会(※アメリカコースへのご案内)
・2017年2月18日(木) 池袋サンシャインシティにて行われる新農業人フェア内説明会(※H29年度研修へのご案内)
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