オランダ並みのトマト収量を目指す タキイ種苗の「高度環境抑制ハウス」
今年で創業180周年を迎えるタキイ種苗。「茨城研究農場」の見学会が行われたのでアグリフード編集部も参加してきました。1999年に開設された研究農場には、15.5ヘクタールの敷地内に8ヘクタールの圃場と「高度環境抑制ハウス」を設けられています。主にトマトやキャベツ、大根、にんじんなどの野菜が栽培されています。
■タキイ種苗視察レポート1:オランダ並みのトマト収量を目指す タキイ種苗の「高度環境抑制ハウス」
■タキイ種苗視察レポート2:受粉なしでも着果する ナス科野菜の新遺伝子を発見
■タキイ種苗視察レポート3:遺伝子組み換え技術は不使用 タキイ種苗が手がける新品種
オランダと同等のトマト収量を目指す「高度環境抑制ハウス」
10アールで年間60トンの収量を目指す。
多収穫と高品質のトマトを実現するために建設された高度環境抑制ハウス。ここでは光合成を増大させるために、光・温度・湿度(飽差)・風・CO2を統合的に管理している。光量が1%上がると収量が1%上がる1%を設けて、なるべく光を遮らないよう管理されている。
また、CO2の濃度も常に屋外と同等になるよう工夫がされている。トマトが繁茂すると室内濃度が屋外の半分程度にまで下がってしまうため、ボンベなどでCO2を供給する。室内濃度を400ppmに保てれば光合成速度は2割ほどプラスとなる。
年間30~35段のトマト栽培を実現
4メートルまで上昇する作業台車
自動で走行する防除機を使用
施設内は高さ5メートルほどで、年間で30~35段の栽培が可能。施設用に開発した自動走行タイプの防除機を使い、作業の省力化を実現した。培地にはグロダン社のロックウールを使用している。
将来的には10アールで60トンを目指し、糖度はオランダの3~4度を上回る5~6度を目標にしている。まだまだ始まったばかりの高度環境抑制ハウス内でのトマト栽培。数年後にはここから高品質・多収量の新品種が生まれるかもしれない。