イネの倒伏性を高めるゲノム領域を高精度に特定 超大型台風にも耐える品種が生まれる可能性

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東京農工大学大は農研機構との共同研究で、イネの茎を強くするゲノム領域の高精度な特定に成功した。研究には「染色体断片置換系統」という、ゲノムの一部が他方のゲノムに置き換わったイネ系統を用いている。

 

従来の倒伏に強いイネは、半矮性(植物の背の高さを抑える性質)の遺伝子「sd1」を利用して稈を短くすることで生み出されたもの。けれども、東南アジアでは近年、超大型の台風により半矮性の品種が倒伏の被害にあっている。生産を安定化するためには、超大型台風への倒伏抵抗性を持った品種の開発が不可欠となっていた。

 

日本型のコシヒカリは、稈は細いけれど稈の外側にある皮層繊維組織は厚いという特性を持っている。一方、インド型のタカナリは、稈は太いけれど皮層繊維組織が薄くもろい特性がある。研究では両者を交配することで、強稈性に関わる候補領域を特定した。今後は領域をさらに絞り込み原因遺伝子特定して、効率的な倒伏抵抗性品種の開発につなげていく。

 

イネで得られた研究成果は、同じく半矮性遺伝子を用いて品種改良が行われてきたコムギ、オオムギなど同じイネ科作物に適用することができ、世界の主要作物の強稈化による倒伏抵抗性の向上、収量増加および安定化に貢献することが期待できます。

(「東京農工大学プレスリリース」より引用)

 

今後は海外の研究機関と連携して、世界のイネやコムギ品種の倒伏抵抗性の改良を進めていく。



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