業務・加工用に適した新品種「とよめき」 4カ年平均で814 kg/10aの高収量
農研機構は、うるちで極めて多収の業務・加工用水稲新品種「とよめき」を育成した。玄米収量は、標準の施肥量で738kg/10aとなり、「コシヒカリ」の598kg/10aよりも23℅多い。施肥量を増やすと814kg/10aとなり、「コシヒカリ」の510kg/10aよりも60℅多く高収量が期待される。
外食・中食用の米需要が安定している昨今では、安価な業務・加工用米が求められている。極多収で耐倒伏性に優れ、業務・加工用米として使える「とよめき」は東北南部以西の地域で冷凍米飯等の加工用としての利用が期待されている。
「とよめき」は極多収の「やまだわら」と良食味品種「イクヒカリ」の交雑後代より育成した品種。育成地の茨城県つくばみらい市での出穂期は「コシヒカリ」より3日早く、成熟期は「コシヒカリ」より6日遅い。耐倒伏性はやや強く、多肥栽培でさらに多収となる。多肥試験では、4カ年平均で814 kg/10aの高収量が得られた。玄米の外観品質と食味が中程度で、炊飯米が粘りすぎないため、加工用米に適している。栽培適地は東北南部以西の地域。
(画像:プレスリリース)
生産上で気をつけたい点は以下のとおり。
・いもち病に対しては抵抗性があるが、葉いもちには弱いので防除を徹底する必要。
・縞葉枯病に弱いため、常発地での栽培は避ける。
・ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、メソトリオン(トリケトン系4-HPPD阻害型除草成分)を含む除草剤に感受性が高いため、使用不可。
数年後には関東以西を中心に、約200ヘクタールでの栽培が見込まれている。また、2015年度より茨城県稲敷市で冷凍米飯用の加工米として栽培されている。