アスパラガスのハウス栽培に特化した環境制御ソフト 来年の発売に向けて開発中

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北海道の酪農学園大学とソフトウェア開発のCSソリューションは、ハウスアスパラガス専用の環境制御ソフトを共同で開発した。地温と室温を測るセンサーの値と天気予報をもとに側窓の巻上機と温湯暖房機を制御する。特定の品目に特化した環境制御ソフトは珍しいという。

 

アスパラガスは消費と価格が安定しており、北海道産品に対する消費者ニーズは高い。けれども、道産は厳しい気象条件から、出荷は価格の安い5~9月が中心となっている。 また、収益が少なく生産者は減少傾向であり、施設栽培生産者も少なく、経験に基づく技術の伝承が中心となっていた。

 

アスパラガスのハウス栽培では、他の品目ほど環境制御のノウハウが浸透していないという。アスパラガスの生育を萌芽促進期、春取り期、立茎期、夏秋取り期、株養生記、茎葉黄化期に分けて、病害が発生しにくく栽培に適した環境条件を推定する。これら生育ステージを指定すれば、適した環境条件を簡易的に作り出す。センサーを追加すれば、地温と室温だけでなくEC(塩類集積濃度)や土壌水分も測定できる。測定した数値はパソコンで見られる。ハウス内の環境をより細かく管理すれば収量が上がると考えて、開発がスタートした。発売時期は来年を予定している。

 

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(画像:酪農学園大学)

 

酪農学園大学は高収益のアスパラ経営を目指し、モミガラが燃料の温水ボイラーによる土中蓄熱暖房システムの構築などにも取り組んでいる。地下60cmに埋め込んだパイプを通して温水を回し、地熱を上げることでアスパラの成長を促す実証試験を行った。結果、空気暖房と比較してエネル ギー効率が30%高いことがわかった。また、厚さ5センチの断熱材でハウスの外周を地下45センチまで覆って、より少ない燃料で加温することができたという。

 



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