企業と連携した農業の先端モデル確立を支援 農水省

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2014年度からスタートした「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」。この事業は農業界と経済界が連携して行う「低コストの生産技術」や「農業機械の開発」、「ICTによる効率化」など、先端的な取り組みの支援を目的としている。

 

対象となるのは、以下2つの条件を満たす事業。

・農業法人と企業等が共同で取り組む3年以内の実証事業。

・得られた成果を他の農業者等に広く普及するもの。

 

上記を満たす事業に費用(資材費、人件費、機械・施設の導入、簡易な基盤整備等に係る費用等)の1/2を補助する。上限は初年度が3,000 万円、2・3年目それぞれ1,500万円。

 

 

直播栽培の収量増加を目指す事業

 

2014年度には16の事業が採択され、すでに結果を出しているプロジェクトもある。茨城の農業法人アグリ山崎と、農業機械の開発を手がけるハイパーアグリは「イオン水生成装置による直播栽培農法確立と直播普及プロジェクト」実施している。

 

このプロジェクトは、直播栽培のデメリットだった倒伏による収量低下を改善することを目的に始まった。倒伏は地面から約5センチの下位節間(第4節間~第5節間)が長いと発生しやすくなる。

 

ハイパーアグリが開発したイオン水生成装置は、稲が根から酸素を吸収しやすい仕組みを作る。根から酸素を取り入れることで、根と節が強く倒伏しにくい稲が生まれる。播種後の1ヶ月間、2週に1回、ほ場の用水路に設置して試用する。

 

 

農業にも体系化された経営ノウハウ、技術を導入

 

長野でレタスを栽培するトップリバーと、巨大リゾート再生事業などを手がけてきたフィフス・アローは「経済界のマネジメント手法導入による最適農業経営スキーム」の確立を進めているようだ。

 

農業には経営者の管理できない不確定要素(自然環境、市況、特有の慣習など)が多くある。それらを効率的に乗り越えるための、ノウハウや技術を体系化、標準化することを目的としている。

 

目標と現状のギャップを把握して原因を探し改善していく課題解決のための手法や、組織の全情報を見える化し共有・改善を図る方法などを導入して、農業経営の効率を上げていく。

 

本事業では2014年は16件、15年は14件の事業が採択され、16年は3億3,200万円の予算が見込まれている。農業界単体で事業を進めるよりも、企業と上手に連携することで農業の可能性はまだまだ広がりそうだ。

 

 

参考URL

農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業(PDFファイル)

連携プロジェクト一覧-先端農業連携推進機構



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