生活排水の肥料成分を活用し飼料用米を栽培 山形大学が成果

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山形大学は生活排水を再利用して水稲の栽培する研究している。排水には窒素、リン、カリウムなどの肥料成分が多く含まれている。農業と排水処理を両立させる技術が確立されれば、肥料を減らした循環農業につながる。

 

同大学は、通常の施肥と下水処理水を再利用したケースで水稲を育てる実験をした。結果、どちらのケースでも水稲の生育、収量、食味、重金属含有量の差はなかった。

 

 

排水の脱窒処理も不要に

 

下水処理水には窒素が多く含まれているため、脱窒処理をする自治体もある。けれども、処理水で稲を育てれば約90%の窒素を除去することができるため、コスト削減にもなる。

 

窒素が豊富な処理水を主食用米に使うとタンパク質が高くなりすぎたり、倒伏しやすくなる。倒伏に強い飼料用米であれば、リン酸不足に注意すれば肥料の代わりとして十分使えるという。

 

2016年度は生産コストを試算して、生産者に利益が出ることを実証する予定。肥料や脱窒処理のコストを減らせて、飼料用米の増収が見込める。新しい形の循環農業として期待したい。

 

 

参考URL

排水や廃棄物の処理と農業生産を両立させる技術



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