オオムギの休眠をコントロールする遺伝子を発見 雨期の穂発芽防止に期待
岡山大学と農研機構の研究グループが、オオムギの発芽を一定期間休止させる主要な種子休眠性遺伝子の配列を特定した。これにより、降雨による収穫前の発芽防止が可能となる。
オオムギは地域や用途によって種子休眠の長さに大きな差がある。ビールやウイスキー用のオオムギは醸造させるため、休眠が短く一斉に発芽するものが適している。一方、日本や北欧など収穫期に雨の多い地域では、休眠が短い品種だと穂発芽による大きな損害が発生してしまう。
休眠型(左)と非休眠型(右)のオオムギ系統の5週間後の発芽(画像:岡山大学)
今回の研究で「Qsd1」という種子休眠性遺伝子が休眠をコントロールしていることが判明した。また、オオムギ約300品種の遺伝子配列の比較解析によって、休眠の短い醸造用オオムギはイスラエル付近の野生オオムギが起源だと判明。そこからビールなどの麦芽製造の際に休眠の短い突然変異品種が選抜され、世界に広く伝わったという。
「Qsd1」の遺伝子配列が特定されたことで、オオムギの種子休眠の調節が可能になった。今後、穂発芽の防止や麦芽醸造に適したオオムギの品種開発が進むと期待される。