中国企業が農薬最大手シンジェンタを買収 新興国の農産物の需要減少により業績低迷
中国企業の中国化工集団がスイスの農薬大手企業シンジェンタを買収すると発表した。日本経済新聞の記事によると、買収額は430億ドル(約5兆1600億円)以上になるという。中国企業による海外企業の買収では過去最大の規模だ。
2015年には、シンジェンタやモンサントともにビッグ6と呼ばれるアメリカのダウ・ケミカルとデュポンも経営統合を決定している。農薬、種子の業界は再編の動きが続いている。
日経ビジネスオンラインは、今回の買収の理由はシンジェンタの業績が振るわないためと報じている。同記事によると、15年12月期の同社売上高、純利益ともに-11%、-17%を記録。その一因が新興国での農産物の需要減少にあると見ている。
中国化工による買収と同じ日に発表したシンジェンタの2015年12月期決算は売上高が前の期に比べ11%減の約134億ドル(約1兆6000億円)、純利益は同17%減の約13億ドル(約1560億円)だった。
減収減益の一因が新興国での農産物需要の減少にある。2月5日に国連食糧農業機関(FAO)が発表した2016年1月の食料価格指数は150.4と前年同月に比べ28.5ポイント低下した。安定した供給に対して、世界経済減速の影響から需要が弱まっていることが理由だ。
(日経ビジネスオンライン「農薬大手シンジェンタが中国化工を選んだ理由」より引用)
安全性の面で課題が残る中国は、農薬や種子などの先端技術を取り込む狙いがある。しかし、北米市場でもシェアのあるシンジェンタの買収はアメリカの規制当局などの厳しい審査が必要になると報道されている。