安定生産実現に期待 開花をコントロールするホルモン「フロリゲン」と「アンチフロリゲン」
植物の開花を促す「フロリゲン」というホルモンがある。このホルモンの存在は80年ほど前から予想されていたけれど、実際に発見されたのは2007年になってから。今、フロリゲンの分布や遺伝子の活性を操作できれば、収量の増加につながると期待されている。
植物の開花を操ることで増産を実現
フロリゲンにはジャガイモやタマネギなどの植物器官を作らせる機能もある。将来的にはフロリゲンを操作して開花時期をコントロールしたり、葉や茎を巨大化して生産を効率化したり、農作物の開花期を安定させた増産につなげるなどの応用が考えられる。
これまでの研究で、茎の先端で働くフロリゲンの受容体も発見されている。さまざまなタンパク質が同時に受容体に入ることで、開花以外の機能を発揮すると考えられている。
また、フロリゲンは品種改良にも応用できる。たとえば、交配親の開花時期を調整して新しい品種を作ることも可能になる。
開花時期を遅らせる逆のホルモンも発見
2013年には、フロリゲンとは逆の働きをする「アンチフロリゲン」というホルモンが菊から発見されている。電照菊栽培では、夜間の光照射でアンチフロリゲンが作られて開花が抑制されていることがわかった。
フロリゲンとアンチフロリゲンの存在が明らかになったことにより、花の開花時期を自由に制御する技術の実現に近づいてきた。これにより、菊以外のさまざま植物の開花時期調節のしくみが解明されるかもしれない。そして、さらに一歩進んだ需給のバランスに応じた安定生産につながると期待されている
参考URL
TPPで苦境に立たされた農業を開花ホルモン研究が救う?-ハーバービジネスオンライン
世界初!花を咲かせないように働く「アンチフロリゲン」を発見!-農研機構