地域が支える都市農業 狛江版CSAが発足
鹿島建設は東京都の狛江市とともに狛江版CSA発足準備協議会を立ち上げた。CSAとは「Community Supported Agriculture」の略で、地域コミュニティが支える農業のこと。来年2月まで、狛江市内において地域が支援する都市農業モデルの実証試験を行っていく。
消費者と生産者がともに支える農業
CSAは日本で始まった取り組みだけれど、欧米を中心に発展してきた歴史がある。CSAでは会員となった地域の消費者が農家から定期的に作物を購入する。代金は前払いとなり、豊作時には取り分が増えるが、不作時には減ってしまう。CSAでは消費者も農家と同じく、生産におけるリスクの影響を受ける場合があるのだ。
狛江版CSAでは、「循環型の農業」「環境負荷を低減する農業」「地域に支えられた農業」をコンセプトに実証実験を進めていく。具体的には以下の取り組みを行う。
・ミミズコンポスト
ミミズを使って野菜残さを短期間で堆肥化する取り組み。「市内の生ごみを堆肥化→堆肥を使いから野菜を生産→地域の消費者が食べる」という循環型農業を確立させる。他にもレストランの調理屑を処理しており、7月の試験開始から3か月間で約200kgの生ごみを処理した。
・コーヒーかすによるヒラタケ栽培
市内の飲食店から発生するコーヒーかすを回収し、ヒラタケの培地(菌床栽培)として再利用する。収穫したヒラタケは市内の飲食店で使う。使用済みの菌床は肥料として再利用する。コーヒーかすの重さの約半分のヒラタケが2~3か月で収穫できる。
・ヒツジ除草
ヒツジを使って市内の農地や緑地の除草、農地から出る野菜くずを処理する。機械除草と違い、騒音や植物性廃棄物、CO2の排出もない。また、農産物の非食用部の処理も行える。3頭の雌ヒツジがブルーベリー観光農園をベースに、公園や駅前広場、神社の除草に貢献している。
ヒツジを用いた環境教育も行われている。市民や近隣の保育園児童を対象としたヒツジクイズや、ヒツジとふれあえるイベントを実施している。また、市内の緑地で要請があればいつでも出向いて除草に当たっている。
資源を無駄にせず、地域と環境にも優しい農業。消費者と生産者の距離が近づくCSAの取り組みは各地で増えていきそうだ。
参考URL
循環型まちづくりを目指す、狛江版CSA発足準備協議会を設立 | プレスリリース | 鹿島建設株式会社