キャビアとイチゴが同時に育てられる?水耕栽培×水産養殖のハイブリッドビジネス

農業メディア「AgriFood」の最新記事を購読しよう
line_addfriens_banner

水産養殖+水耕栽培=アクアポニックス 新たな食糧生産のかたちを実現する 事業や製品・サービスの紹介 アクアポニックスとは、水産養殖を意味する「Aquaculture」、水耕栽培の「Hydroponics」をかけ合わせた造語。農業でもなく漁業でもなく、葉物野菜と淡水魚を同時並行で育てることができる、まったく新しいかたちの食糧生産モデルだ。 養殖している魚の排泄物を水中の微生物が分解し、それを栄養分として植物が育つ。植物がもたらす浄化作用により、水を一切替えずに栽培・養殖を可能にしている。アクアポニックスは、工場内で循環型のエコシステムを実現しているのである。 株式会社プラントフォームは、新潟県長岡市で雪冷熱を活用した超省エネ型データセンターを運営する株式会社データドックの執行役員・山本祐二氏が設立した。同社のアクアポニックス工場は、冷涼な気候で豪雪地帯でもある長岡市の気候を利用したエコなデータセンターに隣接している。データセンターの排熱と雪冷熱を有効活用し、地球にやさしいハイパーエコな食糧生産の第一歩を踏み出したのだ。 工場で栽培した野菜と魚を販売する直販事業、アクアポニックスの導入・運営支援、学校や老人ホームなどにアクアポニックスを導入するコラボレーション事業がビジネスの柱になる。2018年7月のスタートから資金調達、コラボ展開も順調で、工場で働く人材の育成にも着手。日本ではまだ知られていないアクアポニックスの横展開にも意欲的である。 キャビアがとれる食糧生産モデル。 食育や生きがい提供も視野に入る 対象市場と優位性 天候不順による野菜価格の高騰、食料自給率の向上などをねらい、植物工場ビジネスに参入する企業は多い。しかし、それらの工場はLEDを光源にしてシステムで管理し、化学肥料を使う無機・水耕栽培というスタイルがほとんどだ。エコ、オーガニックな食べ物が志向される中、有機栽培で安心な野菜を提供できるアクアポニックスには大きな期待が集まる。LED型の植物工場に比べて初期投資が4分の1、ランニングが10分の1というコスト面のメリットがあり、水耕栽培の2.6倍という生産性の高さも魅力だ。
(続きを読む)



3094