「農業の将来を背負う”農の匠”を育てたい」─イチゴ食べ放題の観光農園「あぐりスタジアム」舛田博文氏インタビュー

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「かおりの」をメインにイチゴ食べ放題を実施

 

埼玉県の越谷駅から車で約20分の松伏町にある「あぐりスタジアム」。ここはイチゴ食べ放題の観光農園として、国内外を問わず観光客が日々やってくる。松伏町は埼玉のベッドタウンである越谷市や春日部市に隣接し、都内から30キロ圏内に位置する都市型農業の街。

 

栽培しているイチゴの品種は「おいCベリー」、「やよいひめ」、「とちおとめ」、「紅ほっぺ」、「かおりの」、「あきひめなど」など。「イチゴはかおりのが主役ですね。観光農園は2007年からはじめて、当時はまだ少なかった高設栽培でイチゴを育てています」。そう話すのは同社の舛田博文代表だ。

 

1整然としたハウス内でイチゴの高設栽培が行われている

 

2お客さんに農園の説明をする舛田代表。社長のご子息も同じ松伏町で無肥料・無農薬の固定種野菜を栽培している。

 

3イチゴは贈答品としてのパック販売も行っている。

 

食べ放題のイチゴ狩りは毎年12月6日~5月下旬まで開催している。時間は30分で、料金はシーズンごとに異なるが大人(小学生以上)1,500円、2,000円、2,300円の3種類となっている。

 

 

食べ放題のイチゴ狩りにこだわる理由は、「鮮度」と「コスト削減」

 

「土日は大型バスに乗って観光客の方がいらっしゃいますね。大人から子どもまで。海外向けのPRは特にしていないけれど、口コミでアジア圏の観光客、在日のイランやパキスタンなど中東の方が来られます。海外には観光農園はないので珍しがられますね。でも、文化の違いからか、贈答用のイチゴを勝手に食べてしまう人もいるのが悩みの種です(笑)」。

 

4広い通路で、車いすやベビーカーでもゆったりイチゴ狩りを楽しめる

 

平日には近隣の学童保育の児童や、介護施設の利用者がやってくる。車いすやベビーカーでも通れるように通路が広く保たれている安心設計。また、観光客以外にも地元の方がふらっと立ち寄って、贈答用のイチゴを買っていくこともあるとか。観光農園でありながら、地域の人たちが気軽に立ち寄れる場所となっている。

 

イチゴ食べ放題の形式にしたのは売り上げが立てやすいという理由から。また、収穫作業、パック詰めも不要で人件費が省ける。そして、イチゴは鮮度が命なので通販はやらないという。

 

「やっぱり農家は接客が苦手なんです。私も最初は観光農園としてお客さんと接することに抵抗があったけれど、今ではそれが楽しい。常連さんとなにげない会話をして、そこから新しいお客さんにつながることだってありますから」(舛田さん)。

 

 

地域リーダーとなる若い農業経営者を世に送り出したい

 

5 ヒートポンプを活用して作業効率を上げ、病気を抑制している。

 

ハウス内ではほぼ一年中ヒートポンプを稼働させている。夏場は冷房で従業員の作業効率が上がり、ウドンコ病の抑制にもなる。温湯ボイラーとヒートポンプを併用して燃油コストを減らすことにも成功。約6アールのハウス内に3つのヒートポンプを設置している。

 

受粉にはオランダから導入したクロマルハナバチを活用している。現在、巣箱には300匹ほどがいるという。

 

あぐりスタジアムの現在のスタッフは6人。今後は観光農園だけでなく、6次産業化も積極的に進める意向だという。「イチゴを主体にして20代の若い農家を育てています。農業の将来を背負うような農の匠を育てたいですね」。明日の農業経営者を数多く輩出するべく、舛田社長の奮闘は続く。

 

 

 



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