地熱を使った農業ハウスに注目
資源に乏しい国といわれている日本。けれども、火山大国の日本には地熱エネルギーが豊富にある。今回は地熱を使ってエネルギーをまかなう新型の農業ハウスを紹介したい。
ハウスがあるのは大分県の別府市。農林水産研究指導センターの農業研究部花きグループ内に5棟を建てた。源泉から噴き出す蒸気で温めた水を配管に通して暖房する。熱交換器を使い冷房もできる。ITで湿度や二酸化炭素などを制御して栽培に適切な環境を保っている。
地熱を使って通年の施設栽培が可能に
県内にはすでに温泉の蒸気や熱水を使ったハウスはあるけれど、設備の腐植が問題だった。今回の新型ハウスはその問題の解決も目指している。また、通常のハウスより高額なため、高い生産性の実現と運営ノウハウの蓄積なども必要となってくる。
課題は多いけれど、熱資源の豊富な別府市、由布市、九重町などでは暖房コストを大きく減らして、安定栽培が可能になると期待されている。
温泉がつなぐ農業・工業・観光
ハウスの隣には湯煙発電装置(出力22キロワット)を2基設置して、地熱から生み出した電力を九州電力に販売する。地熱で育てた熱帯植物を展示するハウスもあり観光スポット化を狙う。総事業費は約2億4,300万円。
温泉のエネルギーを農業、工業、観光に活かすモデル施設として、全国にPRをしていく。今後は農家の実用に向け研究を進める。全国にある温泉のエネルギーを農業に使える日が来れば、日本の農業の成長に大きく役立つだろう。