農福連携で地域課題の解決を目指す 京都の亀岡福祉会

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京都府亀岡市の亀岡福祉会は、農福連携と鳥獣害対策を両立した取り組みを進めている。つくだ煮の「丹亀」(たんかめ)ブランドを立ち上げて、第一弾の商品となる「生ふりかけ 鹿山椒・鹿生姜」を発売した。

 

同会は障がい者のための作業所やショートステイ、グループホームを運営する社会福祉法人。福祉新聞の記事によると、当初は工賃の増額を目的に地元の亀岡牛のつくだ煮を作る予定だったという。けれども、「域課題を解決する付加価値のある商品をつくらないとダメ」というアドバイスをもとに方向転換。地域の問題を探っているうちに、シカやイノシシの問題が大きいことが判明。

 鹿や猪など有害鳥獣の被害が広がったり、亀岡祭山鉾行事で鉾の引き手がいなかったりする中山間地ならではの課題が分かった。特に鹿は死後30分以内に加工しないと食肉として使えず、猪肉のように流通ルートも確立していないため、猟師も捕ろうとせず被害が深刻化していた。

(福祉新聞「鳥獣被害防止へ鹿肉で佃煮 社会福祉法人、農家組合、自治会が取り組む」より引用)

 

2014年には「自然豊かな亀岡の未来をつなぐ地域協議会」を結成。地域経済の活性化や、雇用と生きがいの創出、地域課題の解決などを目的に活動している。「生ふりかけ 鹿山椒・鹿生姜」は、京都丹波産の鹿肉と亀岡産の醤油や日本酒を使った昔ながらのつくだ煮。ともに50グラムで1,250円。

生ふりかけ外装__large「生ふりかけ 鹿山椒・鹿生姜」のパッケージ。(画像:亀岡福祉会HP

 

前述の記事によると、亀岡市内の温泉旅館や京都市内の土産物店などで販売している。多い月で100個ほど売れるが、まだ収益は出てない状況だという。おみやげとして買いやすい20グラム500円の鹿肉を使った「ごちそう味噌」や、ニンニク味の生ふりかけの販売で、「丹亀」ブランドの認知力向上を目指す。

 

全国で広がる農福連携だが、障がい者の雇用と鳥獣害対策を両立した取り組みは珍しい。



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